一口馬主を始めようかなって思っている人が気になるのは、やっぱ投資として儲かるの?ってことですよね。
結論からいいますと、儲かりません。
いきなり夢のない話やなと思った人がいるかもしれませんが、構造的に収支でプラスを出すのは非常に難しいです。
じゃ、やらない方がいいのかというとそんなこともなくて、個人的な感想としてはとても楽しいので、興味がある人は自分が出せる予算内でやってみるのは全然いいんじゃないかなと思います。
ただ、「投資として一口馬主を考えてる」ってことであれば、リスクが高すぎるのでおすすめはしない感じです。
あくまで趣味で、出資したお金は溶けても大丈夫くらいのノリでやった方が懸命でしょう。
というわけで、自分の事例で一口馬主の収支を考えてみます。
一口馬主は投資として儲かるの?
近年参画したDMMのバヌーシーのように、大口で募集しているクラブもありますが(当初は10,000万口募集でしたが、2019年より2,000口に)、基本的には、
- 40口
- 400口
- 500口
が主流となっています。
で、一口馬主で馬を一頭買ったらいくらかかるの?ってよく聞かれるんですけど、募集価格を募集口数で割ったらいいわけですね。
例えば、8,000万の馬がいたら、
- 40口 → 200万
- 400口 → 20万
- 500口 → 16万
上記が1口出資したときにかかる価格です。
当然、2口出資すれば、料金は掛ける2倍ということになります。
出資馬がデビュー前に事故や病気などで走れなくなったときに、状況によって出資額の何割かが戻ってくるってやつですね。
かかってくるお金はそれで終わりではなく、各クラブが定めている会費と、出資馬の管理費が毎月引き落とされます。
クラブによって値段は多少かわりますが、
- クラブ会費 → 3,000円
- 馬の管理費 → 1,500円〜2,000円
だいたいこんな感じ(1カ月分の料金)。
管理費は400口、500口のクラブでの1口にかかってくるもので算定しています。
当然、頭数や口数が増えると管理費がアップしていきます。
クラブ会費は1頭につき3,000円がかかるわけではなくので、何頭出資しても一律料金です。
出資後、デビューするのは1年以上先
だいたいクラブで1歳馬が募集されるのが7月〜9月くらいで、そこで出資した馬がデビューするの早くても翌年の6月。
秋デビューだったら1年以上先の話で、ケガなどで調整が遅れるとそれ以上かかることもあります。
つまり、最初の馬代を支払った後、少なくとも1年くらいは会費&管理費を払い続けるだけで、収入が一切入ってきません。
(それ以降も、出資馬が出走しないといけないのはもちろん、勝ったり、上位に入賞しないと賞金は入ってきません)
というわけで、デビューするまでに合計12万円の出費=マイナスというわけです。
その後は賞金が入れば、その金額が振り込まれます。
レースに勝てばどれくらい配当が入るのか
じゃ、どれくらいは入ってくるのかというと、JRAが定めている賞金の約65〜70%が入り、それを口数で割った金額×自分が出資している口数の金額が口座に振り込まれます。
- 馬主 80%
- 調教師 10%
- 騎手 5%
- 厩務員 5%
つまり、賞金の8割が馬主に入り、そこから税金、進上金、クラブ手数料、JRA源泉税なんかが差し引かれ、残るのレース賞金の65〜70%くらいというわけです。
(源泉税は確定申告時に戻ってきます。よっぽど収支がプラスだったら戻ってきませんが)
厳密にいうと、特別手当とかいろいろあって、実際の数字はレースなどにもよっても変わってくるんですけど、だいたいこんな感じ。
例えば、メイクデビューの1着賞金は700万円ですが、その7割くらいが入ってくる計算になるんで、新馬勝ちをすると500口クラブでだいたい1万円くらいが分配されます。
以降、順調に出世していってくれたら収支的にはどんどんプラスになっていくわけですが、そうじゃなかったらなかなか賞金は入ってきません。
でも、毎月ランニングコストはかかってきます。
例えば、3,000万の馬だったら、賞金を6,000万稼いでプラマイゼロくらいで、3倍くらいいってやっと儲かったくらいのイメージです。
じゃ、そんな馬全体の何割くらいおるねん?って話ですが、かなりの少数派なんで、一口でプラス収支にさせるのはこのことからもわかります。
さらに、出資してから1年間くらいは支出ばかりでってことを上でご紹介しましたが、翌年の1歳馬にも出資するとすると、またその1年後に大きな支出が生まれることになります。
一口を始めたばかりの方は、まだこの時期本格的にレースに出ている馬はいないので、ほとんど入ってくるお金はありません。
仮に出資馬が大活躍したとしても、その賞金が入ってくるのは3年後、4年後だし、走らなかったなら出資したお金の大半がマイナスということになります。
(何頭かに1頭活躍馬が出たとしても、その間に毎年新たな馬に出資しているとそのつど大きなお金がかかるので、この構造上、一口馬主の趣味を継続している限り、なかなか収支はプラスにならないんですよねー)
ここ数年はプラス収支だけどトータルではマイナス
じゃあ、おまえはどうやねん?って話ですが、ここ1、2年は奇跡的にプラスになっています。
例えば、先日、1年ぶりに一口馬主専用の口座の通帳記帳を行いましたが、30万円くらい増えていました。
基本、1口しかいかない零細な出資者で、プラス30万はけっこう大きいと思います。
その要因は、
- インディチャンプ
- プリモシーン
- サラキア
といった出資馬たちががんばってくれたからなんですけど、活躍馬が何頭か出てくれると月々の会費分くらいは浮かすことができる感じですね。
※当方の詳しい出資馬一覧はコチラをご覧ください。
じゃ、トータルプラスなのかというと、今現時点(2019年8月)で区切るとマイナスです。
実は一口始めた最初、まったく何もわかってなくて大損こいてます^^;
これって、単に活躍せんかった馬を引いたってだけでなくて、知ってる人に言ったら「こいつアホか」っていわれそうですが、なんと2月に入会したんですよ。
知らない人のために書いておくと、上記したようにだいたい夏頃にその年の1歳馬が募集されるわけですが、2月に残っている馬っていうのはいわゆる「売れ残り」です。
そこにいい馬はいないのかというと、確率からいうとほとんど残っていなくて、てなぜなら、
その時期に残ってるってよっぽどダメ
▼
なぜなら、そこまで様子見してもまだ枠が埋まらないから
▼
れだけ「魅力がない」「ダメ」って判断が下されている
ということだからで、当時のぼくはそんなことわからんから、残ってる中から自分なりに「いい」と思う馬に出資したわけですが、当然のように未勝利で終わりました^^;
ちなみに、当時シルクとロードに入会したんですけど、その1〜2年で30万ちょっとはマイナスになったと思います。
(ロードは最初の出資馬が引退した時点で退会しました)
約86万円のマイナスです。
ただ、あくまで今日(2019年8月13日)現在の数字で、いま15頭前後いる現役の馬たちがこれからもっと稼いでくれれば、この数字は小さくなるでしょう。
(先に挙げたインディチャンプを筆頭とした黄金の2015年世代はもちろん、リアアメリアとか期待馬がけっこういるので、そんなに悲観はしていません)
つまり、上の方でご紹介したように、一口馬主は構造上先払い、先払いになるので、どうしても現地点で収支を取ると、よっぽどのことがない限りマイナスになるわけで、活躍している現役馬が何頭かいれば悲観することはありません。
僕の場合、そこにスタート時の大マイナス(約30万)を差っ引いたらだいたいトントンくらいなかなと^^;
(まあ、現実的にはばっちりマイナスなんですけどね)
一口馬主でプラス収支は不可能なのか?
理論上、不可能ではありません。
例えば、2015年にシルクホースクラブに入会し、アーモンドアイやインディチャンプのみに複数口出資しているって人は、現地点で大幅な収支はプラスになっているでしょう。
ただ、まあそういうのはレアケースですので、やはり一口でプラス収支にもっていくのはなかなか難しい感じです。
なぜなら、大きなプラスを生み出す馬より未勝利で終わる馬の方が多いわけで、数多く出資すればするほど回収率は悪くなり、プラス収支は遠のいてしまうからです。
- 出資馬をしぼる
- さらに、これは!という馬に複数口行く
こうした選択と集中を行い、それでもってセレクトした馬が活躍してくれれば、残りに出資した数頭がダメでも収支はプラスになるでしょう。
もちろん、その分リスクは大きくなりますが、やはりハイリターンを望むとハイリスクになるというわけですね。
一口馬主は趣味として収支以外の大きな価値も
冒頭申し上げたように、一口馬主を投資の対象として見た場合はリスキー過ぎるのでおすすめできませんし、たぶん多くの人が痛い目にあうでしょう。
ただ、無理をせず、自分が余裕をもって遊べる程度に出資して、趣味として取り組むとすごく楽しいですよ。
競馬シミュレーションゲーム「ダビスタ」をやったことがある人はわかると思いますが、自分の馬が活躍してくれるとめっちゃうれしいですよね。
一口馬主って、リアルダビスタみたいなもんで、例え一口だけでも一喜一憂できます。
ただ、これが自分の出資している馬となると、前走大敗した馬だったりしたら5着入着してくれただけでもちょっとうれしかったり、通常では味わえない競馬の楽しみの視点を得られます。
未勝利戦や条件戦を勝っただけでもうれしいですが、これが重賞やG1なんかを勝った日には、もうたまんない感じです。
そうした出資馬のレース結果に一喜一憂するだけじゃなく、例えば
- レース後の口取りに参加
- クラブ主催のパーティーで騎手や調教師の先生方とお話ができる
といったことをはじめ、北海道の牧場ツアーなど、競馬が好きな人なら魅力的なことがいろいろとあります。
(インディチャンプの安田記念優勝パーティー楽しみにしています♪)
まとめ
一口馬主を投資として見た場合、儲かるのか儲からないのかでいうと儲からない可能性の方が圧倒的に高いでしょう。
なので、投資としてとにかく収支をプラスさせたいとかだとリスクが高すぎるのでオススメはできない感じです。
普通にメインレースとかに出てくれるとうれしいし、ましてG1出走なんてなったらめっちゃテンション上がりますよ!
とはいえ、出資する馬がどれもこれも未勝利を勝ち上がれず、負けてばかりだとさすがに面白くないので、自分なりに相馬眼を磨いて、いい馬に出資し、一口馬主を楽しみましょう。